タイでは、外国人の永住権取得を認めています。
自国の国籍を有しながら永住権を取得できるため、毎年多くの外国人がタイの永住権申請を進めているほどです。また、老後のセカンドライフをタイで過ごすために、タイの永住権を取得する人も少なくありません。
そこで本記事では、タイの永住権について、取得条件や必要書類、永住権のメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。タイへの移住を検討している方、永住権を取得したい方は、ぜひ最後までご覧になってください。
タイの永住権の概要
最初に、タイの永住権の概要について確認していきましょう。今回は下記の2つに焦点をあてて、情報を整理していきます。
- 取得難易度
- 取得にかかる時間・費用
取得難易度
結論から述べると、タイの永住権の取得難易度は他国と比較すると若干低いですが、簡単に取得できるとも言い切れません。タイの永住権は「年間100名までの外国人が取得可能」と決まっています。このため、永住権の申請者全員が権利を取得できるとはいえないのです。
タイで永住権を取得するためには、計画的に適用条件を満たして、書類申請の準備を進めていくことが重要になります。
取得にかかる時間・費用|いくらかかる?
タイの永住権の取得を申請してから実際に取得できるまで、1~3年ほどかかるケースが多いです。書類確認や審査などの都合もあり、申請してすぐに取得できるものではないと考えましょう。
またタイの永住権の申請を行う際、申請者(外国人)は申請料として「7,600バーツ(約30,000円)」支払う必要があります。申請料は返金不可です。また、永住権の申請が承認された場合、追加で「191,400バーツ(約765,600円)」の追加料金がかかります。
ただし、下記の条件に該当する場合は、追加料金の支払いは免除されます。
- 外国人永住者、またはタイ国民の子供(20歳未満)
- 外国人永住者、またはタイ国民の配偶者
基本的に、タイにゆかりのない人の場合は、申請料がトータルで「約30,000円+約765,600円=約795,600円」かかると考えておきましょう。
タイの永住権の取得に必要なこと
次にタイの永住権の取得に必要なことについて確認していきましょう。今回は、下記の2項目に焦点を当てて情報を整理していきます。
- 取得条件(就労者・投資家・配偶者など)
- 必要書類
取得条件(就労者・投資家・配偶者など)
タイの永住権は、タイ政府が規定した「就労者」「投資家」「配偶者・家族」「専門家(技能者)」の条件に当てはまる人が申請可能です。各カテゴリーによって詳細条件は変わってきますが、下記の条件に関してはすべてのカテゴリーの人に求められる条件になります。
- 日常会話レベルのタイ語の使用
- ノンイミグラントビザを保有していて、1年間の滞在許可を合計3年以上受けている
- 過去に犯罪を起こしていない
※ノンイミグラントビザ:タイに滞在する目的・形態によって13種類のカテゴリーに分かれているビザ
「就労者」「投資家」「配偶者・家族」「専門家(技能者)」ごとの永住権申請の条件は、下記の通りです。
<就労者>
■一般の社員
・直近1年以上、同じ企業で継続して勤務している
・直近3年以上、ワークパーミットを保有している
・直近2年間、月収平均で約8万バーツ(約32万円)以上の収入がある
■取締役
・所属の会社の登録資本金が1,000万バーツ(約4,000万円)以上
・直近2年間、月収平均で約5万バーツ(約20万円)以上の収入がある
<投資家>
・1,000万バーツ以上の投資を行っている
・下記に挙げたいずれかの方法で、投資を行っている
ー株式市場への投資、国債・国営企業債への投資、株式市場・公開株式会社への投資や出資
※仮想通貨は現状、対象外となっています。
<配偶者・家族>
・タイ国籍保有者の父母、配偶者、子供である(or タイ永住権保有者の父母、配偶者、子供である)
・タイ人の配偶者がいる場合、配偶者との間に子供がいる家庭は結婚後2年以上、子供がいない家庭は結婚後5年以上の年月が経過している
・直近2年間、月収平均で3万バーツ(約12万円)以上の収入がある
<専門家(技能者)>
・学士号以上の学歴がある
・直近3年以上、タイ国内で就労している
・タイにとって有益な能力、業務内容に見合った能力を有している
必要書類
タイの永住権で取得で必要な書類は、下記の通りです。
<タイで就労している場合>
・パスポートとコピー
・申請書、経歴書、健康診断書、無犯罪証明書、卒業証明書のコピー
・ワークパーミットの原本と、全ページのコピー
・2年間分の所得申告書(年間10万バーツ以上の納税証明)、3年間分の個人確定申告書
・会社の登記証明書、財務諸表
・自宅・職場の地z酢、写真数枚
・永住権の申請料7,600バーツ
・証明書の発行手数料191,400バーツ(申請が通った場合)
<タイ人の配偶者がいる場合>
・パスポートとコピー
・申請書、経歴書、健康診断書、無犯罪証明書、卒業証明書のコピー
・タイ人の配偶者との結婚証明書のコピー
・タイ人の配偶者の身分証明書、住民登録証
・就労している際は、会社の登記証明書、財務諸表、ワークパーミットの原本と全ページのコピー
・2年間分の収入証明(月間3万バーツ以上)
・子供がいる場合、子供の出生証明書
・永住権の申請料7,600バーツ
・証明書の発行手数料95,700バーツ(申請が通った場合)
必要書類に不備がないよう、準備できるものから少しずつ揃えていくのがおすすめです。
タイの永住権のメリット
次に、タイの永住権を取得するメリットについて確認していきます。タイの永住権を取得するメリットは、主に下記の3点です。
- VISAだと必要な更新やレポートが不要に
- 就労許可の更新が楽に
- 物件の購入が容易に
VISAだと必要な更新やレポートが不要に
タイの永住権を取得すると、VISA保有者に必要な更新手続き、レポート作成が不要になります。ビザの場合、有効期限が切れる前に更新する必要があります。更新時に再度、適用条件を審査されるため、状況によってはビザを更新できない可能性もゼロではありません。
これに対して、永住権を取得した人は、ビザの更新は不要になります。更新手続きの手間がなくなるので、毎年の更新を心配せずにタイで過ごすことが可能です。
また、タイではどのビザでも「90日ごとのレポート」を提出する必要があります。レポートでは、パスポートのコピー、各種申請書を添付しなければならず、意外と手間がかかります。一方、永住権を取得している人は、レポート提出も不要となります。
就労許可の更新が楽に
永住権を取得すると、就労許可の更新が楽になります。タイ国内で働く際は、ビジネスビザに加えて、1年間有効な就労許可証(ワークパーミット)が必要です。ビザとは別の書類となり、別途申請を行わねばなりません。
永住権を取得している人でも、タイ国内で働くためには、ワークパーミットが必要です。ただ、永住権の保有者は、ワークパーミットを申請・更新する際の提出書類が少なくなったり、書類が受理されやすくなる等のメリットがあります。
「永住権」が信頼性の証となり、ワークパーミットの発行を進めてもらいやすくなると考えてよいでしょう。
物件の購入が容易に
タイの永住権を取得すると、タイの物件購入が容易になります。通常、タイで外国人が物件を購入する際は、契約後の外貨送金の実施、送金証明書の提出が必要です。
一方、永住権を取得している人であれば、外貨送金の証明書の提出が不要となります。タイ国内で自分の物件を持ちたい場合にも、永住権は有用であるといえるでしょう。
タイの永住権のデメリット
タイの永住権のデメリットとしては、「永住権を取得するまでに時間がかかる」という面がありますが、総じて大きなデメリットはありません。
少なくとも、タイの永住権を保有していて損をすることないと考えてください。永住権を取得するまでに時間はかかりますが、条件を満たして書類を正しく申請すれば、タイの永住権は無理なく取得可能です。
よくある質問
最後に、タイの永住権に関してよくある質問について確認していきましょう。
タイの永住権に関してよくある質問として、下記の2つが挙げられます。
- タイの永住権を老後に取得できる?
- タイ永住権の申請を代行してくれる日本企業はある?
タイの永住権を老後に取得できる?
タイの永住権を老後に取得することは可能です。ただし、年齢によって永住権取得の条件が緩和される訳ではないので注意してください。永住権を一度取得すれば、老後もそのままタイに住み続けることができるので、老後まで待たずに早い段階で永住権取得の申請を進めていくのがおすすめになります。
タイ永住権の申請を代行してくれる日本企業はある?
タイの永住権の申請を代行してくれる日本企業は存在します。具体的な企業名を挙げるのは避けますが、ビザ申請や外国での会社設立などを支援するコンサルティング会社が、タイ永住権の申請代行に対応しているケースが多いです。
弊社でも、タイをはじめとした諸外国への移住の相談を受けています。タイへの移住を検討されている方は、ぜひお問い合わせください。
まとめ
タイの永住権を取得することで、生涯に渡ってタイに住み続けることができます。他国の永住権と比べて、申請の条件も比較的満たしやすいです。
ただ、年間100名までへの永住付与となっているため、申請が通るまでに年数を要することが多く見られます。タイの永住権を取得されたい方は、なるべく早い段階で準備・申請を進めていきましょう。
本記事を参考にして頂き、タイの永住権について理解を深めてもらえると幸いです。
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