ドバイの相続税・贈与税はゼロ?日本の10年ルールとDIFC遺言制度を徹底解説【2026年版】

「資産を次世代に残したいが、日本の相続税が最大55%も課される」――こうした悩みを抱える経営者や資産家が、今ドバイに熱い視線を送っています。

ドバイ(UAE)には相続税・贈与税が存在しません。さらに所得税もゼロという税制環境は、世界中の富裕層を引きつけ、ドバイの人口は約400万人(UAE全体では約1,000万人)にまで拡大しています。

しかし、日本の居住者がドバイの「相続税ゼロ」を活用するには、日本側の税制ルールを正しく理解する必要があります。国外転出時課税制度や相続税の10年ルールなど、知らなければ落とし穴にはまるポイントも少なくありません。

この記事では、ドバイの相続税・贈与税の仕組みから、日本の税制との関係、DIFC遺言登録制度、そして具体的な資産防衛の考え方まで、富裕層の資産承継に必要な情報を網羅的に解説します。

この記事でわかること

  • ドバイ(UAE)の相続税・贈与税がゼロである仕組み
  • 日本の相続税の10年ルールと国外転出時課税の注意点
  • シャリーア法と外国人の相続の関係(2023年UAE連邦法改正の影響)
  • DIFC Wills(遺言登録制度)の種類・費用・手続き
  • ドバイを活用した資産防衛スキームの全体像
  • 専門家に相談すべきタイミングと選び方

目次

ドバイ(UAE)の相続税・贈与税はゼロ|その仕組みと背景

ドバイを含むUAE(アラブ首長国連邦)では、相続税・贈与税・キャピタルゲイン税・所得税のいずれも個人に課されていません。これは2026年現在も変わっておらず、世界的に見ても極めて稀な税制環境です。

UAEで課されない主な税金一覧

税目UAE日本(参考)
相続税なし(0%)最大55%
贈与税なし(0%)最大55%
所得税(個人)なし(0%)最大45%+住民税10%
キャピタルゲイン税なし(0%)約20%
固定資産税なし(0%)評価額の1.4%
住民税なし(0%)約10%

日本で1億円の資産を相続する場合、法定相続人の構成にもよりますが、数千万円単位の相続税が課されます。一方、UAEで同額の資産を相続しても、相続税はゼロです。この差が、多くの富裕層がドバイへの資産移転を検討する最大の理由となっています。

なぜUAEは相続税・贈与税がゼロなのか

UAEが個人への直接税を課さない背景には、以下の要因があります。

  • 石油収入:国家歳入の大部分を石油・天然ガス収入が占めてきた歴史的経緯
  • 国際競争力の維持:世界中から人材・資本・企業を集めるための税制優遇政策
  • 間接税への移行:2018年にVAT(付加価値税)5%を導入し、歳入の多角化を進行中
  • 法人税の導入:2023年6月より法人税9%を導入(年間利益37.5万AED超の部分)。ただし個人への課税は維持されていない

UAEは個人への直接税を課さない一方で、法人税やVATの導入により歳入構造を近代化しています(参照:UAE連邦税務局(FTA))。将来的な制度変更の可能性はゼロではありませんが、現時点で個人への相続税・贈与税の導入が検討されているという情報はありません。

金﨑 柊歩

UAEでは2023年に法人税が導入されましたが、個人への相続税・贈与税はゼロのままです。富裕層にとってのメリットは依然として大きいと言えます。ただし、今後の制度変更には常にアンテナを張っておくことが大切です。

UAEで課される税金・費用

相続税・贈与税はゼロですが、UAEで全く税金がかからないわけではありません。以下のコストは発生します。

  • VAT(付加価値税):5%(食料品・医療・教育の一部は免税)
  • 不動産登録料(DLD):物件価格の4%(購入時のみ)
  • 法人税:年間利益37.5万AED(約1,575万円)超の部分に9%
  • 観光税(Tourism Dirham Fee):ホテル宿泊時に1泊7〜20AED

日本の相続税との関係|10年ルールと国外転出時課税を正しく理解する

ドバイに移住すれば即座に日本の相続税から解放されるわけではありません。日本の税制には、海外移住による相続税回避を防ぐための複数の仕組みが用意されています。

相続税の「10年ルール」とは

2017年度の税制改正により、海外移住後の相続税に関するルールが厳格化されました。いわゆる「10年ルール」の概要は以下のとおりです(参照:国税庁)。

相続税の10年ルール(概要)

  • 被相続人(亡くなった方)相続人(受け取る方)の双方が、日本国内に住所を有しないこと
  • かつ、双方が出国から10年以上経過していること
  • 上記を満たす場合、国外財産には日本の相続税が課されない
  • ただし、日本国内の財産には引き続き日本の相続税が課される

つまり、親子ともにドバイに移住しても、出国から10年が経過するまでは、世界中のどこにある財産に対しても日本の相続税が課される可能性があります。

10年ルールのパターン別シミュレーション

被相続人(父)と相続人(子)の居住状況によって、課税範囲がどう変わるかを整理します。

パターン被相続人(父)相続人(子)課税範囲
1日本在住日本在住全世界の財産に課税
2ドバイ在住(10年未満)日本在住全世界の財産に課税
3ドバイ在住(10年未満)ドバイ在住(10年未満)全世界の財産に課税
4ドバイ在住(10年超)ドバイ在住(10年未満)全世界の財産に課税
5ドバイ在住(10年超)ドバイ在住(10年超)日本国内の財産のみ課税

パターン5のように、親子ともに10年以上海外に居住している場合のみ、海外財産への日本の相続税が免除されます。これは非常に長い期間であり、相続対策として海外移住を検討する場合は、早い段階から計画的に進める必要があることを示しています。

金﨑 柊歩

10年ルールは非常に厳格で、親だけが海外移住しても相続税対策にはなりません。お子さまの居住状況も含めた計画が必要です。早めに国際税務に詳しい税理士へ相談されることを強くおすすめします。

国外転出時課税制度(Exit Tax)とは

2015年7月1日以降、日本を出国する際に1億円以上の有価証券等を保有している場合、その含み益に対して所得税が課される制度が導入されました。

国外転出時課税の主なポイント

  • 対象者:出国前10年以内に5年超日本に住所を有していた居住者
  • 対象資産:有価証券、デリバティブ取引の未決済ポジション等(合計1億円以上)
  • 課税対象:対象資産の含み益(評価額 − 取得価額)
  • 納税猶予:担保提供+届出により最大10年の猶予が可能
  • 対象外:不動産、現金、預金、保険は対象外

たとえば、上場株式を取得価額5,000万円、時価1億5,000万円で保有している状態で出国する場合、含み益1億円に対して約20%(所得税15.315%+住民税5%相当)の課税が生じる可能性があります。

ただし、5年以内に帰国した場合は課税が取り消される措置もあるため、詳細は税理士に確認する必要があります。

贈与税の10年ルール

贈与税についても、相続税と同様の10年ルールが適用されます。日本国籍を持つ個人が海外に移住しても、贈与者・受贈者の双方が10年以上海外に居住していない限り、海外にある財産の贈与にも日本の贈与税が課されます。

日本の贈与税は最大55%と世界的にも高い水準にあり、生前贈与による相続対策を考える場合にも、10年ルールの影響を十分に考慮する必要があります。

ドバイの相続税・贈与税ゼロ|日本との比較シミュレーション

具体的な数字で、日本とドバイの相続税の差を確認してみましょう。

相続財産3億円のケース(配偶者+子2人)

項目日本で相続ドバイで相続(10年ルール適用後)
相続財産3億円3億円
基礎控除4,800万円なし(課税自体がない)
課税遺産総額2億5,200万円0円
相続税額(概算)約3,900万円0円
手取り資産約2億6,100万円3億円

※日本の相続税額は概算であり、配偶者の税額軽減(法定相続分もしくは1億6,000万円まで非課税)を適用しない場合の数値です。実際の税額は遺産分割の方法や各種控除により異なります。

相続財産10億円のケース

項目日本で相続ドバイで相続(10年ルール適用後)
相続財産10億円10億円
基礎控除4,800万円なし(課税自体がない)
課税遺産総額9億5,200万円0円
相続税額(概算)約2億3,000万円0円
手取り資産約7億7,000万円10億円

資産規模が大きくなるほど、日本の累進課税の影響が大きくなり、ドバイでの相続との差は拡大します。10億円の資産を持つ場合、約2億3,000万円もの差が生じる計算です。

※上記はあくまでシミュレーションであり、実際の税額は個別の状況により大きく異なります。必ず国際税務に詳しい税理士にご相談ください。

シャリーア法と外国人の相続|2023年UAE連邦法改正で何が変わったか

ドバイで資産を保有する外国人にとって、もう一つ知っておくべき重要なテーマが「相続の準拠法」です。UAEはイスラム法(シャリーア法)を基盤とする国ですが、2023年の法改正により、非イスラム教徒の相続ルールが大きく変わりました。

シャリーア法に基づく相続の特徴

イスラム法に基づく相続では、以下のような特徴があります。

  • 相続人と相続分が法律で厳格に定められている
  • 男性の相続分は女性の2倍とされる
  • 遺言で処分できるのは遺産の3分の1まで
  • 非イスラム教徒はイスラム教徒から相続できないケースがある

従来、UAEに居住する外国人(非ムスリム)が遺言を残さずに死亡した場合、シャリーア法に基づく相続が適用される可能性がありました。これは、日本人を含む外国人の意図した遺産分割とは大きく異なる結果をもたらす恐れがありました。

2023年UAE連邦法改正のポイント(連邦法令第41号)

2023年2月1日に施行されたUAE連邦法令第41号(民事身分法)により、非イスラム教徒の相続ルールが大幅に改善されました。

2023年UAE連邦法改正の主な変更点

  • 遺言がない場合:遺産の半分が配偶者へ、残り半分が子どもに均等分配(男女差なし)
  • 遺言がある場合:遺産全額を遺言で自由に処分可能(シャリーア法の3分の1制限が適用されない)
  • 適用対象:UAE在住の非イスラム教徒の外国人
  • 本国法の選択:希望すれば自国の相続法を適用することも可能

この改正により、日本人を含む非イスラム教徒の外国人は、遺言を作成することで自分の意思どおりに資産を分配できるようになりました。これは、ドバイでの資産保有における大きな安心材料です。

金﨑 柊歩

2023年の法改正は、ドバイに住む外国人にとって非常に大きな進歩です。ただし、遺言を作成していない場合のリスクは依然として残ります。ドバイで資産を持つ方は、DIFC Willsなどの遺言制度を必ず活用してください。

遺言がない場合のリスク

2023年の法改正後も、遺言を作成しておくことは極めて重要です。遺言がない場合、以下のリスクがあります。

  • 銀行口座の凍結:名義人の死亡が確認されると、裁判所の命令が出るまで口座が凍結される
  • 不動産の処分困難:相続手続きに時間がかかり、売却・名義変更が遅延する
  • 手続きの長期化:UAE裁判所での手続きに数ヶ月〜1年以上かかることがある
  • 子どもの後見問題:未成年の子どもの後見人が裁判所に決定される可能性がある

DIFC Wills(ドバイ国際金融センター遺言登録制度)の完全ガイド

ドバイで資産を保有する外国人が、自分の意思に基づいた遺産分配を確実にするために最も有効な手段が「DIFC Wills Service Centre」での遺言登録です。

DIFC Willsとは

DIFC(Dubai International Financial Centre)は、ドバイにある独立した法域を持つ国際金融センターです。2015年に設立されたDIFC Wills Service Centreでは、コモンロー(英米法)に基づく遺言を登録できます。

DIFC Willsの最大のメリットは、シャリーア法ではなくコモンローに基づいて遺言が執行される点です。これにより、外国人は自分の意思に基づいた財産分配が可能になります。

DIFC Willsの種類と費用

遺言の種類対象登録費用(参考)
Full Will(フルウィル)全資産・後見人指名・事業持分を包括的にカバー実費で約10,000 AED(約42万円)
Property Will(不動産ウィル)UAE国内の不動産に限定実費で約7,500 AED(約31.5万円)
Guardianship Will(後見ウィル)未成年の子どもの後見人指名実費で約5,000 AED(約21万円)
Business Owners Will会社の株式・持分実費で約5,000 AED(約21万円)
Financial Assets Will銀行口座・現金資産実費で約5,000 AED(約21万円)
Mirror Wills(夫婦ペア)夫婦で同内容の遺言を相互に作成実費で約15,000 AED(約63万円)

※費用は2026年時点の参考価格です。最新の料金はDIFC Courts公式サイトでご確認ください。

DIFC Willsの登録手続きの流れ

DIFC Willsの登録は、以下のステップで進みます。

  1. 弁護士・専門家への相談:DIFC認定の遺言作成専門家(Registered Wills Draftsman)に相談し、遺言の内容を決定
  2. 遺言書の作成:DIFC Wills & Probate Registryの規定フォーマットに従い、英語で遺言書をドラフト
  3. 予約・費用の支払い:DIFC Wills Service Centreに予約を入れ、登録費用を支払い
  4. 署名・証人立会い:遺言者本人+証人2名の立会いのもとで署名(ビデオ会議でも可能)
  5. 登録完了:DIFC Wills & Probate Registryに正式登録され、法的効力が発生

登録は対面またはビデオ会議で行うことができ、海外在住者でも手続きが可能です。

DIFC Willsの注意点

  • DIFC WillsはUAE国内の資産のみを対象とすることが一般的です(日本の資産は日本の遺言で対応)
  • 遺言の内容変更には、改めて登録手続きが必要です
  • 遺言書は英語で作成する必要があります
  • DIFC以外のUAE裁判所で遺言を登録するルートもあります(Abu Dhabi Judicial Department等)
金﨑 柊歩

DIFC Willsは、ドバイに不動産や銀行口座をお持ちの方にとって必須の手続きと言っても過言ではありません。夫婦であればMirror Willsがおすすめです。日本の遺言とは別に、UAE用の遺言を作成しておくことで、万が一の際にご家族を守ることができます。

ドバイを活用した資産防衛スキームの全体像

ドバイの税制優遇を活用した資産防衛には、複数のアプローチがあります。ここでは代表的なスキームの概要を紹介します。

※以下は一般的な情報提供であり、個別の税務アドバイスではありません。実行にあたっては、必ず国際税務・国際法務の専門家にご相談ください。

スキーム1:ドバイ移住+タックスレジデンス取得

最も基本的なアプローチは、実際にドバイに移住し、UAEのタックスレジデンス(税務上の居住者)を取得することです。

  • メリット:UAE居住者として所得税・相続税・贈与税ゼロの恩恵を受けられる
  • 前提条件:UAEに実際に居住し、年間183日以上の滞在が推奨される
  • 日本側の注意:日本の非居住者認定を受ける必要がある。住民票の転出、生活の本拠の移転など
  • 10年ルール:被相続人・相続人の双方が10年超海外居住するまで、海外財産にも日本の相続税が課される

タックスレジデンスの詳細については、「ドバイの税金・タックスレジデンス完全ガイド」で解説しています。

スキーム2:ドバイ不動産によるゴールデンビザ取得

200万AED(約8,400万円)以上の不動産を購入することで、10年間有効なゴールデンビザを取得できます。

  • メリット:10年間の長期居住権を確保しつつ、不動産という実物資産への分散投資が可能
  • 資産承継の観点:UAE国内の不動産は、DIFC Willsで遺言を登録することで確実に次世代に承継できる
  • 利回り:ドバイの不動産はネット利回り5〜8%程度が期待でき、資産運用としても魅力的

ゴールデンビザの詳細については、「ドバイ・ゴールデンビザ完全ガイド」をご覧ください。

スキーム3:フリーゾーン法人を活用した資産管理

ドバイのフリーゾーンに法人を設立し、その法人を通じて資産を管理する手法もあります。

  • 法人税:フリーゾーン法人がQFZP(適格フリーゾーン法人)の要件を満たす場合、適格所得には0%が適用されます。ただし、非適格所得には最初の1ディルハムから9%が課税され、AED 375,000の免税枠は適用されません。不動産の賃貸収入は「除外活動」に該当し、非適格所得として9%課税される可能性が高い点に注意が必要です
  • 設立費用:実費で約150〜400万円(フリーゾーンにより異なる)
  • 資産管理のメリット:法人名義で不動産や金融資産を保有することで、個人の相続手続きを簡素化できる可能性がある
  • 注意点:法人の維持費(年間ライセンス更新費用等)が継続的にかかる。また、日本のCFC(タックスヘイブン対策税制)の適用に注意が必要

スキーム4:生命保険を活用した資産移転

ドバイ在住者が加入できる国際的な生命保険(オフショア保険)を活用した資産移転も、富裕層の間で利用されています。

  • メリット:保険金は遺言や相続手続きとは別枠で受取人に直接支払われるため、迅速な資産移転が可能
  • 注意点:日本の税法上、保険の種類や契約形態によっては日本の相続税・贈与税の課税対象となる場合がある

重要:上記のスキームはいずれも、日本の税法・UAE法・国際税務条約の影響を受けます。独立した判断で実行せず、必ず国際税務に詳しい専門家チームに相談のうえ進めてください。

金﨑 柊歩

資産防衛スキームは一つだけでなく、複数のアプローチを組み合わせるのが一般的です。お客様の資産規模・家族構成・事業内容によって最適な組み合わせは異なりますので、まずは全体像を把握したうえで専門家にご相談されることをおすすめします。

ドバイ移住のステップ|相続対策を見据えた計画の立て方

相続対策としてドバイ移住を検討する場合、通常の移住以上に計画的なステップが求められます。

Phase 1:情報収集・専門家チーム構築(移住6ヶ月〜1年前)

  • 国際税務に詳しい税理士への相談
  • ドバイの法律事務所(遺言・法人設立対応)の選定
  • 資産の棚卸し(日本国内資産・海外資産の整理)
  • 国外転出時課税の対象資産の確認
  • 家族全員の移住スケジュールの検討(10年ルール対策)

Phase 2:法的手続き・移住準備(移住3〜6ヶ月前)

  • ビザの種類を決定(ゴールデンビザ、フリーゾーンビザ等)
  • 必要に応じてフリーゾーン法人の設立
  • 日本での各種手続き(住民票の転出届、年金・保険の整理)
  • 国外転出時課税の申告準備・納税猶予の検討

Phase 3:移住後の体制構築(移住後1〜3ヶ月)

  • UAE居住ビザの取得・Emirates IDの取得
  • UAE銀行口座の開設
  • DIFC Willsの登録
  • 医療保険への加入(UAEではビザ取得者に医療保険への加入が義務)
  • タックスレジデンス証明書(TRC)の取得

Phase 4:長期的な資産管理(移住後継続)

  • 年間183日以上のUAE滞在を維持
  • 日本の税務申告の継続確認(非居住者としての義務)
  • 遺言内容の定期的な見直し
  • 日本の税制改正への対応
  • UAE法制度の変更モニタリング

ドバイ移住の費用や具体的な手続きについては、「ドバイ移住の費用・生活費完全ガイド」で詳しく解説しています。

ドバイ移住の費用|相続対策に必要な初期コスト

相続対策を目的としたドバイ移住には、通常の移住コストに加えて、法的手続きの費用も考慮する必要があります。

初期費用の目安

項目費用目安備考
ビザ取得(ゴールデンビザ)不動産購入費用200万AED(約8,400万円)+手続き費用不動産は資産として保有
ビザ取得(フリーゾーン法人)実費で約150〜400万円法人設立費用を含む
住居の賃貸(年間契約)実費で約250〜600万円/年エリア・物件タイプにより異なる
DIFC Will登録実費で約42〜63万円シングル or ミラー
国際税務コンサルティング実費で約50〜200万円初回の包括的な税務プランニング
医療保険実費で約20〜80万円/年プランにより大きく異なる

ゴールデンビザを取得する場合、不動産購入費用が最も大きな支出となりますが、これは売却可能な資産への投資であり、ドバイの不動産市場で利回りを得ることも可能です。

継続費用の目安

項目年間費用目安備考
法人ライセンス更新実費で約50〜150万円/年フリーゾーンにより異なる
医療保険実費で約20〜80万円/年家族全員分
生活費(一人暮らし)約30〜60万円/月住居費を含む
税務顧問実費で約30〜100万円/年日本・UAE双方の税務対応
遺言の更新必要時のみ内容変更時に費用発生

ドバイ vs 他の相続税対策先|シンガポール・マレーシア・ポルトガルとの比較

ドバイ以外にも、相続税がない国・地域は存在します。主要な移住先候補との比較を見てみましょう。

比較項目ドバイ(UAE)シンガポールマレーシアポルトガル
相続税なしなしなしあり(10%)
贈与税なしなしなしあり(10%)
所得税なし(0%)最大22%最大30%最大48%
不動産取得の難易度低い(外国人もフリーホールド可)高い(追加印紙税60%)中程度(最低購入額あり)低い
ビザ取得の難易度比較的容易非常に困難容易(MM2H)容易(ゴールデンビザ)
日本からの距離約10時間約7時間約7時間約15時間
遺言制度(外国人向け)DIFC Wills(整備済)英語遺言可英語遺言可現地法に従う

ドバイの最大の強みは、相続税ゼロに加えて所得税もゼロという点です。シンガポールも相続税はありませんが、所得税が課され、外国人の不動産取得にはABSD(追加印紙税)60%が適用されるため、不動産による資産分散は現実的ではありません。

また、シンガポールは近年ビザの取得難度が急上昇しており、資産家であっても居住権を得ることが困難になっています。その点、ドバイは不動産投資やフリーゾーン法人設立で比較的容易にビザを取得できます。

金﨑 柊歩

相続対策としての海外移住先は、税金だけでなく、ビザの取りやすさ、生活環境、日本との行き来のしやすさなど総合的に判断する必要があります。ドバイは税制・ビザ・生活インフラのバランスが非常によく、富裕層の移住先として総合力が高いと感じています。

よくある質問(FAQ)|ドバイの相続税・贈与税

Q1. ドバイに移住すれば、すぐに日本の相続税がかからなくなりますか?

いいえ。被相続人と相続人の双方が10年以上日本国外に居住するまでは、海外にある財産にも日本の相続税が課されます。また、日本国内に残した資産には、居住期間に関係なく日本の相続税がかかります。相続対策としての移住は、長期的な計画が必要です。

Q2. ドバイで購入した不動産は、日本の相続税の対象になりますか?

10年ルールの対象期間中は、ドバイの不動産も日本の相続税の課税対象となります。被相続人・相続人ともに10年以上海外に居住している場合は、海外不動産は課税対象外となります。ただし、個別の状況により判断が異なるため、税理士にご確認ください。

Q3. DIFC Willsは日本人でも登録できますか?

はい。DIFC Willsは、UAE居住者だけでなく、UAEに不動産や銀行口座を持つ非居住者も登録可能です。日本国籍の方でも問題なく利用できます。登録はビデオ会議でも行えるため、日本からの手続きも可能です。

Q4. UAEに相続税が導入される可能性はありますか?

2026年現在、UAEで個人への相続税・贈与税の導入が検討されているという公式な情報はありません。ただし、2023年に法人税が導入された前例があるため、将来の可能性を完全に排除することはできません。長期的な資産計画を立てる際は、定期的に最新の法制度を確認することが重要です。

Q5. 遺言を作成しないとどうなりますか?

2023年のUAE連邦法改正により、非イスラム教徒の場合は遺産の半分が配偶者へ、残り半分が子どもに均等分配される仕組みとなりました。ただし、遺言がないと銀行口座の凍結や手続きの長期化が発生するため、DIFC Willsまたはその他の遺言登録を必ず行うことをおすすめします。

Q6. 国外転出時課税の対象にならないためにはどうすればいいですか?

国外転出時課税は、1億円以上の有価証券等を保有する場合に適用されます。出国前に対象資産を売却する、納税猶予制度を利用する、5年以内に帰国して課税を取り消すなどの対応策がありますが、いずれも専門的な判断が必要です。必ず税理士にご相談ください。

Q7. ドバイに住まず、不動産を持つだけで相続税対策になりますか?

ドバイに不動産を保有するだけでは、日本の相続税対策にはなりません。ドバイの不動産は日本の相続税の課税対象(10年ルール適用中)であり、UAEの相続税が0%であっても日本側の課税は免れません。相続税対策としては、実際の移住と10年以上の海外居住が前提となります。

Q8. 日本とUAEの間に租税条約はありますか?

2026年現在、日本とUAEの間には租税条約が締結されています(2014年発効)。ただし、この条約は主に二重課税の防止を目的としたもので、相続税に関する規定は含まれていません。相続税については、各国の国内法に基づいて判断されます。

専門家に相談すべきタイミングと選び方

ドバイの相続税対策は、日本の税法、UAE法、国際税務が複雑に絡み合います。以下のタイミングでは、必ず専門家に相談することをおすすめします。

相談が必要なタイミング

  • 移住の意思決定前:資産規模、家族構成、事業内容に基づいた税務シミュレーション
  • 出国前:国外転出時課税の確認、日本側の税務手続き
  • 移住直後:タックスレジデンスの取得、DIFC Wills登録
  • 大きな資産移動時:法人設立、不動産購入、生前贈与の検討時
  • 日本またはUAEの税制改正時:影響の確認と対策の見直し

必要な専門家チーム

専門家役割選ぶポイント
国際税務に詳しい税理士日本・UAE双方の税務プランニング海外移住の案件実績があること
UAE弁護士DIFC Wills作成、UAE法のアドバイスDIFC登録の実績があること
ファイナンシャルプランナー資産全体のポートフォリオ設計海外資産・保険に詳しいこと
ドバイの移住サポート会社ビザ取得、法人設立、生活立ち上げ日本語対応、実績豊富であること
金﨑 柊歩

相続対策としてのドバイ移住は、一般的な移住よりも専門知識が必要です。日本とUAE双方の税務・法律に精通した専門家チームを最初に構築することが、成功の鍵です。弊社でも、信頼できる専門家のご紹介が可能ですので、お気軽にご相談ください。

まとめ|ドバイの相続税ゼロを活かすには計画的な行動がカギ

ドバイ(UAE)には相続税・贈与税が存在せず、これは資産承継を考える富裕層にとって非常に大きなメリットです。しかし、日本の10年ルールや国外転出時課税など、日本側の税制をクリアするためには長期的な計画が不可欠です。

この記事のポイント

  • UAEには相続税・贈与税・所得税がなく、資産承継コストを大幅に削減できる
  • 日本の10年ルールにより、親子ともに10年以上の海外居住が必要
  • 国外転出時課税は1億円以上の有価証券保有者に適用される
  • 2023年UAE連邦法改正で、非ムスリムの相続ルールが改善された
  • DIFC Willsの登録は、ドバイに資産を持つ外国人にとって必須
  • 資産防衛スキームは複数のアプローチを組み合わせるのが効果的
  • 国際税務の専門家チームの構築が成功のカギ

ドバイ移住による相続対策は、50代から準備を始めれば、60代でのスムーズな資産承継が可能になります。まずは現状の資産を棚卸しし、専門家に相談するところから始めてみてはいかがでしょうか。

ドバイ移住の全体像については「ドバイ移住完全ガイド【2026年版】」で、税金の詳細は「ドバイの税金・タックスレジデンス完全ガイド」で解説しています。あわせてご覧ください。

この記事の監修

この記事は、ドバイ在住の税務・法務の専門家による監修のもと作成しています。記載情報は2026年2月時点のものです。最新の法規制については、必ず専門家にご確認ください。

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