ドバイで法人設立を検討するとき、最初にぶつかる壁が「どのフリーゾーンを選ぶべきか」という問題です。ドバイには30を超えるフリーゾーンがあり、それぞれ対象業種・費用・ビザ発行枠・立地が異なります。
結論からお伝えすると、フリーゾーン選びは「業種」「予算」「必要ビザ数」の3軸で絞り込むのが最も効率的です。コスト重視ならIFZAやMeydan、貿易・物流ならJAFZA、金融ならDIFC、IT・テックならDubai Internet Cityといったように、目的に応じて最適解は変わります。
この記事では、日本人の法人設立で特に利用されることが多い主要8フリーゾーンを取り上げ、費用・特徴・業種適性を一覧表で比較します。メインランドとの違い、法人税0%の条件(Qualifying Free Zone Person要件)まで、実務に必要な判断材料をすべてまとめました。
この記事でわかること
- ドバイ主要8フリーゾーンの費用・特徴・ビザ枠の比較
- フリーゾーンとメインランドの違いと使い分け
- 業種・目的別のフリーゾーンの選び方
- 法人税0%を維持するための「Qualifying Free Zone Person」要件
- フリーゾーン法人設立の流れと必要書類
目次
そもそもフリーゾーンとは?メインランドとの違い
ドバイで法人を設立する場合、大きく分けて「フリーゾーン法人」と「メインランド法人」の2つの選択肢があります。まずこの違いを理解することが、フリーゾーン選びの第一歩です。
フリーゾーン法人の特徴
フリーゾーン(Free Zone)とは、UAE政府が外国企業の誘致を目的に設置した経済特区です。各フリーゾーンは独自の規制当局(Free Zone Authority)を持ち、ライセンス発行・ビザ手続き・企業登記を一元的に管理しています。
- 外資100%で法人設立が可能(UAEパートナー不要)
- 法人税0%の優遇措置(Qualifying Free Zone Person要件を満たす場合)
- 利益・資本の全額本国送金が可能
- 関税の免除(フリーゾーン内での取引)
- 設立手続きがシンプルで迅速(最短3〜5営業日)
メインランド法人との比較
| 項目 | フリーゾーン法人 | メインランド法人 |
|---|---|---|
| 外資比率 | 100%可能 | 100%可能(2020年法改正以降) |
| 法人税 | 0%(QFZP要件充足時) | 9%(課税所得375,000AED超) |
| UAE国内取引 | 制限あり(原則フリーゾーン内・海外向け) | 制限なし |
| オフィス要件 | バーチャルオフィス可(ゾーンによる) | 実オフィス必須 |
| ビザ発行 | ゾーンごとの枠(2〜6名が一般的) | オフィス面積に応じて柔軟 |
| 銀行口座開設 | 事前準備が重要(知名度の高いFZは特にスムーズ) | 比較的容易 |
2020年の法改正でメインランドも外資100%が可能になりましたが、フリーゾーンは法人税0%の優遇を受けられる点が依然として大きなメリットです。UAE国外のクライアントが中心の事業であれば、フリーゾーンが有利なケースが多いですね。
フリーゾーンが向いているケース
- クライアントがUAE国外にいる(EC、コンサル、IT開発など)
- コストを抑えて法人を設立したい
- スピード重視で設立を進めたい
- 居住ビザの取得が主な目的(法人設立 + ビザ取得パッケージ)
メインランドが向いているケース
- UAE国内の企業・消費者を対象にビジネスを行う
- 政府案件の入札に参加したい
- UAE国内に実店舗や倉庫を構える必要がある
- 銀行口座開設をよりスムーズに進めたい
主要8フリーゾーンの費用・特徴を一覧比較
ドバイには30以上のフリーゾーンが存在しますが、日本人が法人設立で検討することが多い主要8ゾーンを比較します。以下の比較表で全体像を把握したうえで、各ゾーンの詳細を確認してください。
| フリーゾーン | 初年度費用目安 | ビザ枠 | 得意業種 | 設立スピード |
|---|---|---|---|---|
| IFZA | 実費で約55万〜80万円 | 最大6名 | コンサル・EC・IT | 最短3〜5営業日 |
| Meydan | 実費で約55万〜105万円 | 最大6名 | 一般商業・EC・コンサル | 最短5〜10営業日 |
| DMCC | 実費で約144万〜184万円 | 制限なし(オフィス面積による) | 貿易・コモディティ・暗号資産 | 5〜10営業日 |
| JAFZA | 実費で約168万〜252万円 | 制限なし(オフィス面積による) | 物流・製造・国際貿易 | 7〜14営業日 |
| DAFZA | 実費で約176万〜202万円 | 1〜2名〜(パッケージによる) | 航空・物流・ヘルスケア | 5〜10営業日 |
| DIFC | 実費で約764万円〜 | 制限なし | 金融・フィンテック・法律 | 10〜20営業日 |
| Dubai Internet City | 実費で約210万〜380万円 | 制限なし(オフィス面積による) | IT・テクノロジー・メディア | 7〜14営業日 |
| Dubai South | 実費で約50万〜130万円 | 最大2名〜 | EC・物流・航空関連 | 3〜7営業日 |
※費用はAED×42円で換算。ビザ費用・オフィス賃料を含む初年度の概算です。為替変動や各ゾーンの料金改定により変動する場合があります。
費用の注意点
上記の費用はライセンス料・登録料・オフィス賃料・ビザ費用を含む目安です。エージェント手数料、保険料、翻訳・認証費用などは別途かかります。正確な見積もりは各フリーゾーン当局またはエージェントに直接ご確認ください。
各フリーゾーンの詳細解説
IFZA(International Free Zone Authority)
IFZAはドバイ・シリコンオアシスに拠点を置くフリーゾーンで、コストパフォーマンスの高さが特徴です。日本人のフリーランスや小規模事業者の間で利用が広がっています。
- 初年度費用:実費で約55万〜80万円(AED 12,900〜)
- ビザ枠:最大6名
- オフィス:バーチャルオフィス利用可能
- 設立スピード:最短3〜5営業日
- 対応業種:コンサルティング、EC、IT、一般商業など幅広い
IFZAの強みは、バーチャルオフィスを利用できるため物理的なオフィス賃料を抑えられる点です。1,500以上のビジネスアクティビティに対応しており、業種の幅広さも魅力です。ただし、知名度はDMCCやJAFZAに劣るため、対外的なブランド力を重視する場合は注意が必要です。
Meydan Free Zone
Meydanフリーゾーンは、ドバイ中心部に近い立地とリーズナブルな費用で人気を集めています。デジタルライセンス「Fawri」の導入により、迅速な法人設立が可能です。
- 初年度費用:実費で約55万〜105万円(AED 12,500〜25,000)
- ビザ枠:最大6名(ライセンスに含まれる)
- オフィス:バーチャルオフィス・フレキシデスク対応
- 設立スピード:最短5〜10営業日
- 対応業種:一般商業、EC、コンサルティング、メディアなど
Meydanの大きなメリットは、ライセンスにビザ6枠がデフォルトで付帯する点です。家族のビザを取得したい場合にも、追加コストなしでビザ枠を確保できます。また、ドバイのメイダンエリアはビジネスベイやダウンタウンに近く、アクセスも良好です。
Meydanは個人事業主やフリーランスの方に検討されることが多いフリーゾーンです。ビザ6枠付きでこの価格帯は競争力がありますね。ただし、銀行口座の開設実績なども含めて総合的に判断することをおすすめします。
DMCC(Dubai Multi Commodities Centre)
DMCCは9年連続で世界最優秀フリーゾーンに選出された実績を持つ、ドバイを代表するフリーゾーンです。JLT(ジュメイラ・レイク・タワーズ)エリアに位置し、国際的なブランド力が高いのが特徴です。
- 初年度費用:実費で約144万〜184万円(AED 34,300〜43,800)
- ビザ枠:オフィス面積に応じて制限なし
- オフィス:フレキシデスク・専用オフィスなど選択可能
- 設立スピード:5〜10営業日
- 対応業種:コモディティ取引、金・貴金属、暗号資産、貿易、コンサルなど
DMCCは暗号資産(仮想通貨)関連のライセンスを発行できる数少ないフリーゾーンの一つであり、Web3・ブロックチェーン企業にとって有力な選択肢です。また、コモディティ取引に特化したインフラ(DMCC Tradeflow等)を持つため、国際貿易を行う企業にも適しています。費用は他のゾーンに比べて高めですが、知名度と信頼性が高く、銀行口座の開設もスムーズに進む傾向があります。
JAFZA(Jebel Ali Free Zone)
JAFZAは1985年に設立されたUAE最古のフリーゾーンの一つで、ジュベル・アリ港とアル・マクトゥーム国際空港に隣接しています。物流・製造・国際貿易に強みを持ちます。
- 初年度費用:実費で約168万〜252万円(AED 40,000〜60,000)
- ビザ枠:オフィス面積に応じて制限なし
- オフィス:倉庫・工場スペースも含めた選択肢
- 設立スピード:7〜14営業日
- 対応業種:物流、製造、国際貿易、食品加工など
JAFZAには120カ国以上から6,000社以上の企業が入居しており、ドバイ最大級のフリーゾーンです。倉庫や工場スペースが充実しており、実物の商品を扱うビジネスに適しています。費用は高めですが、港湾へのアクセスや物流インフラは他のゾーンにはない強みです。
DAFZA(Dubai Airport Free Zone)
DAFZAはドバイ国際空港に隣接するフリーゾーンで、航空・物流・ヘルスケア関連の企業が多く集積しています。
- 初年度費用:実費で約176万〜202万円(AED 41,900〜48,100)
- ビザ枠:1〜2名〜(パッケージにより異なる)
- オフィス:空港近接の実オフィス(27平米〜)
- 設立スピード:5〜10営業日
- 対応業種:航空関連、物流、ヘルスケア、テクノロジーなど
DAFZAは空港アクセスが必要な企業にとって最適な立地です。ただし、バーチャルオフィスの選択肢が限られるため、物理的なオフィスが不要な事業には割高に感じる場合があります。
DIFC(Dubai International Financial Centre)
DIFCは中東最大の金融ハブとして知られるプレミアムフリーゾーンです。独自の法体系(コモンロー準拠)と裁判所を持ち、金融・法律の専門企業が集積しています。
- 初年度費用:実費で約764万円〜(AED 181,900〜)
- ビザ枠:制限なし
- オフィス:実オフィス必須(年間AED 75,000〜)
- 設立スピード:10〜20営業日(DFSA規制対象の場合はさらに長期)
- 対応業種:金融サービス、フィンテック、保険、法律事務所、資産運用
DIFCはコストが高い分、国際的な信頼性とブランド力が圧倒的です。投資ファンドや資産運用会社、国際法律事務所など、金融セクターでの法人設立を検討する場合は有力な候補となります。なお、DFSA(Dubai Financial Services Authority)の規制を受ける業務の場合、ライセンス取得にはさらに高額な費用と厳格な審査が必要です。
Dubai Internet City(DIC)
Dubai Internet CityはIT・テクノロジー企業向けのフリーゾーンで、Google、Microsoft、Meta、Oracleといったグローバルテック企業が拠点を置いています。
- 初年度費用:実費で約210万〜380万円(AED 50,000〜90,000)
- ビザ枠:オフィス面積に応じて制限なし
- オフィス:ワークステーション・専用オフィスなど
- 設立スピード:7〜14営業日
- 対応業種:IT、ソフトウェア開発、デジタルマーケティング、メディアなど
DICはDDA(Dubai Development Authority)が管轄するフリーゾーンの一つです。テクノロジー企業のエコシステムが形成されており、テック系のネットワーキングやビジネス機会が豊富です。
Dubai South Free Zone
Dubai Southはアル・マクトゥーム国際空港とExpo Cityに隣接するフリーゾーンで、ドバイで最もコストを抑えて設立できるゾーンの一つです。
- 初年度費用:実費で約50万〜130万円(AED 12,000〜30,000)
- ビザ枠:2名〜(パッケージにより異なる)
- オフィス:スマートデスク・バーチャルオフィス対応
- 設立スピード:3〜7営業日
- 対応業種:EC、物流、航空関連、バーチャルアセットなど
Dubai Southは将来の開発計画(空港拡張、Expo City開発)によるエリアの成長が期待されています。ただし、現時点ではドバイ中心部からの距離があるため、対面でのビジネスミーティングが多い場合は立地面で検討が必要です。
フリーゾーン選びでは「安さ」だけで決めないことが重要です。銀行口座開設のしやすさ、更新費用、将来のビザ枠追加の柔軟性なども含めて総合的に比較しましょう。銀行口座の開設は、フリーゾーンの知名度や事前準備の質で難易度が変わるため、設立前から情報収集しておくのがおすすめです。
目的別・業種別のフリーゾーンの選び方
フリーゾーンは数が多いため、自分のビジネスに合ったゾーンを選ぶための判断軸を持つことが重要です。以下の4つの軸で整理します。
判断軸1:予算(初期費用 + 年間維持費)
初年度費用だけでなく、2年目以降の更新費用も考慮してください。一般的に、初年度よりも更新費用のほうが安くなるゾーンが多いですが、ゾーンによっては更新時にオフィス賃料が値上がりするケースもあります。
| 予算感 | おすすめフリーゾーン |
|---|---|
| 50万〜100万円(コスト重視) | IFZA、Meydan、Dubai South |
| 100万〜250万円(バランス型) | DMCC、DAFZA |
| 250万円以上(プレミアム) | DIFC、JAFZA、Dubai Internet City |
判断軸2:業種・ビジネスモデル
| 業種 | おすすめフリーゾーン | 理由 |
|---|---|---|
| コンサル・フリーランス | IFZA、Meydan | 低コスト・ビザ取得が主目的 |
| EC・オンラインビジネス | IFZA、Meydan、Dubai South | バーチャルオフィス対応 |
| 国際貿易・物流 | JAFZA、DAFZA | 港湾・空港アクセス |
| 金融・フィンテック | DIFC | 独自法体系・金融規制対応 |
| IT・テクノロジー | Dubai Internet City、DMCC | テックエコシステム |
| 暗号資産・Web3 | DMCC | 暗号資産ライセンス対応 |
| 製造・工業 | JAFZA | 倉庫・工場スペース |
判断軸3:必要なビザ数
家族帯同での移住を考えている場合、配偶者・子どものビザも法人のビザ枠から発行することになります。例えば、自分 + 配偶者 + 子ども2人で4枠が必要です。将来的な従業員雇用も見据えると、ビザ枠に余裕があるゾーンを選ぶことが重要です。
- 1〜2名で十分:Dubai South、IFZA(ミニマムプラン)
- 3〜6名:IFZA、Meydan(6枠デフォルト付帯)
- 7名以上:DMCC、JAFZA、DIFC(オフィス面積に応じて拡張可能)
判断軸4:銀行口座開設のしやすさ
銀行口座の開設はフリーゾーン選びで見落とされがちですが、事前準備とFZ選びで難易度が大きく変わります。近年、UAEではマネーロンダリング対策の観点から、口座開設時の確認が丁寧になっています。
一般的に、DMCC、DIFC、JAFZAなど知名度・歴史のあるフリーゾーンのほうが銀行側の審査がスムーズに進む傾向があります。たとえばDMCC法人ではWio Bankなどでスムーズに口座開設が進むケースが多い一方、比較的新しいフリーゾーン(IFZA等)では追加書類の説明を求められることがあります。ただし、開設できないわけではなく、事業計画書や取引実績をしっかり準備すれば問題なく開設できます。
銀行口座開設の可否は、フリーゾーンの種類だけでなく、事業計画の明確さ、過去の取引実績、居住国の履歴なども影響します。設立前にエージェントを通じて銀行側の受け入れ状況を確認しておくと安心です。
法人税0%の条件|Qualifying Free Zone Person(QFZP)要件
2023年6月に導入されたUAE連邦法人税(Corporate Tax)により、フリーゾーン法人であっても一定の条件を満たさなければ9%の法人税が課されるようになりました。法人税0%の恩恵を受けるためには、Qualifying Free Zone Person(QFZP)の要件をすべて満たす必要があります。
QFZP認定の4つの要件
QFZPの4要件
- フリーゾーンに登記された法人であること:フリーゾーンで設立・登録された法人(支店を含む)
- 十分な実態(Adequate Substance)があること:フリーゾーン内に適切な資産、従業員、事業運営費を保有し、主たる事業活動をフリーゾーン内で行っていること
- 適格所得(Qualifying Income)を得ていること:フリーゾーン企業間の取引、UAE国外との取引から得られる所得が対象
- 通常の法人税課税を選択していないこと:QFZP制度を適用しない旨の選択をしていないこと
デミニマスルール(5%ルール)に要注意
QFZP要件の中でも特に注意が必要なのがデミニマスルールです。非適格所得(メインランド企業との取引など)が総収益の5%またはAED 500万(約2,100万円)のいずれか低い方を超えると、QFZP資格を失います。
さらに重要なのは、QFZP資格を失うと、その年度だけでなく翌4年間も通常の9%課税が適用される点です。6年目以降に再度要件を満たせば、改めてQFZP資格を取得できます。
法人税0%は「フリーゾーンに法人を設立すれば自動的に適用される」わけではありません。QFZP要件、特にSubstance要件とデミニマスルールを正しく理解し、継続的に要件を充足する体制を整えることが重要です。税務の専門家に相談されることを強くおすすめします。
適格所得(Qualifying Income)の具体例
| 所得の種類 | QFZP適格 |
|---|---|
| 他のフリーゾーン企業との取引 | 適格 |
| UAE国外の企業との取引 | 適格 |
| メインランド企業との取引 | 非適格(デミニマスルール内なら許容) |
| UAE国内の個人消費者への直接販売 | 非適格 |
| 不動産収入(UAE国内物件) | 非適格 |
フリーゾーン法人設立の流れ
フリーゾーンでの法人設立は、一般的に以下のステップで進みます。ゾーンによって細部は異なりますが、大まかな流れは共通しています。
ステップ1:フリーゾーンの選定とビジネスアクティビティの決定
事業内容に合ったフリーゾーンを選び、登録するビジネスアクティビティ(業種カテゴリ)を決定します。1つのライセンスで複数のアクティビティを登録できるゾーンもあります。
ステップ2:商号の予約と書類準備
会社名(Trade Name)を決め、フリーゾーン当局に予約申請を行います。必要書類は一般的に以下の通りです。
- パスポートのコピー(全株主・取締役)
- ビジネスプラン(簡易なもので可のゾーンが多い)
- 住所証明(公共料金の請求書や銀行残高証明など)
- パスポートサイズの写真
- 既存の法人がある場合は登記書類(日本の法人登記簿など)
ステップ3:ライセンスの申請・取得
書類が揃ったら、フリーゾーン当局にライセンスを申請します。オンラインで完結するゾーン(IFZA、Meydan等)もあれば、対面手続きが必要なゾーンもあります。
ステップ4:ビザ申請(エントリーパーミット → エミレーツID)
ライセンス取得後、居住ビザを申請します。エントリーパーミットでUAEに入国し、健康診断を受けたのちにエミレーツIDが発行されます。ビザのステータスチェンジ(観光ビザから居住ビザへの切り替え)もUAE国内で可能です。
ステップ5:銀行口座の開設
居住ビザ・エミレーツIDの取得後、UAE国内の銀行で法人口座を開設します。フリーゾーンの知名度や準備状況により異なりますが、審査には通常2〜6週間かかり、事業計画書や過去の取引実績の提出を求められる場合があります。
設立から営業開始までの目安期間
- ライセンス取得まで:2〜14営業日(ゾーンにより異なる)
- ビザ取得まで:ライセンス取得後2〜4週間
- 銀行口座開設まで:ビザ取得後2〜6週間
- 全体:最短1カ月〜最長3カ月程度
フリーゾーン法人設立にかかる費用の内訳
フリーゾーン法人設立の費用は、大きく以下の項目で構成されます。ドバイ法人設立費用の詳細記事もあわせてご確認ください。
初年度にかかる主な費用項目
| 費用項目 | 費用目安(AED) | 費用目安(日本円) |
|---|---|---|
| ビジネスライセンス料 | 5,000〜25,000 | 約21万〜105万円 |
| 登録料・設立料 | 3,000〜10,000 | 約13万〜42万円 |
| オフィス賃料(年間) | 5,000〜75,000+ | 約21万〜315万円+ |
| ビザ費用(1名あたり) | 3,000〜6,000 | 約13万〜25万円 |
| エスタブリッシュメントカード | 1,800〜2,500 | 約8万〜11万円 |
| 健康保険(ビザ取得に必須) | 2,000〜5,000 | 約8万〜21万円 |
2年目以降の更新費用
法人設立後は、毎年ライセンスの更新が必要です。更新費用は初年度よりも低いケースが一般的で、実費で約35万〜85万円(AED 8,000〜20,000)が目安です。ただし、オフィス賃料の値上がりやビザの更新費用が別途かかる場合があります。
法人設立エージェントの手数料は上記の「実費」とは別に発生します。エージェントによっては設立費用に手数料を含めた「パッケージ価格」を提示するので、何が含まれているかを必ず確認してください。
フリーゾーン法人設立で注意すべき3つのポイント
1. 銀行口座開設の準備を設立前から始める
フリーゾーン法人の銀行口座開設は事前準備が成否を分けるポイントです。事業計画書、過去の取引実績(日本の法人がある場合は決算書)、取引先との契約書などを事前に準備しておくと、審査がスムーズに進みます。
2. ビジネスアクティビティの選択は慎重に
ライセンスに登録するビジネスアクティビティ(業種)によって、銀行口座開設の難易度や法人税の取り扱いが変わる場合があります。「とりあえずGeneral Trading」で登録すると、銀行審査で不利になるケースもあるため、実態に即したアクティビティを選択してください。
3. 更新費用・隠れコストも含めて年間コストを把握する
初年度費用だけを見てフリーゾーンを選ぶと、2年目以降の更新費用やオフィス賃料の値上がりで想定外のコストが発生することがあります。最低でも3年間のランニングコストを試算したうえで比較検討することをおすすめします。
フリーゾーン法人設立の失敗パターン
- 安さだけで選んだ結果、銀行口座開設に想定以上の時間がかかる
- ビジネスアクティビティが実態と合わず変更に追加費用が発生
- ビザ枠が足りず追加取得に高額な費用がかかる
- QFZP要件を理解せずメインランド取引を行い法人税9%が適用される
ドバイのフリーゾーンに関するよくある質問
Q. フリーゾーン法人でUAE国内の顧客にサービスを提供できますか?
原則として、フリーゾーン法人がUAEメインランドの顧客に直接サービスを提供するには制限があります。ただし、QFZP要件のデミニマスルール(非適格所得が総収益の5%以下)の範囲内であれば、法人税0%を維持しながら一定のメインランド取引が可能です。UAE国内市場をメインターゲットにする場合は、メインランド法人の設立を検討してください。
Q. フリーゾーン間の法人移転は可能ですか?
はい、フリーゾーン間の移転は可能です。ただし、手続きには時間とコストがかかります。移転先のフリーゾーンでの再登録、ライセンスの再取得、ビザの切り替えなどが必要です。最初のフリーゾーン選びを慎重に行うことで、将来的な移転コストを避けることができます。
Q. ゴールデンビザとフリーゾーン法人の関係は?
フリーゾーン法人のオーナーとして居住ビザを取得した場合、通常は2年の居住ビザが発行されます。ゴールデンビザ(10年ビザ)を取得するには、不動産投資(200万AED以上)や事業投資などの別条件を満たす必要があります。フリーゾーン法人の設立だけでは自動的にゴールデンビザは取得できません。
Q. 日本に居住しながらフリーゾーン法人を運営できますか?
法人設立自体は日本にいながら進められます。ただし、居住ビザを取得する場合はUAEへの渡航が必要です。また、QFZP要件の「Substance(実態)」を満たすためには、UAE内に一定の事業実態を維持する必要があります。日本の税法上の居住者のままドバイ法人を運営する場合は、日本側での税務申告義務も発生するため、日本とUAEの税務関係を事前に確認してください。
Q. フリーゾーン法人で不動産を購入できますか?
フリーゾーン法人名義でドバイの不動産を購入することは可能です。法人による不動産投資については、ドバイ不動産投資ガイドで詳しく解説しています。
フリーゾーン法人の設立は手続き自体はシンプルですが、税務・ビザ・銀行口座など周辺の論点が複雑です。信頼できるエージェントや専門家に相談しながら進めることで、設立後のトラブルを防ぐことができます。
まとめ:自分のビジネスに合ったフリーゾーンを選ぼう
ドバイのフリーゾーン選びは、「業種」「予算」「ビザ数」「銀行口座開設のしやすさ」の4つの軸で整理すると判断しやすくなります。
フリーゾーン選びのまとめ
- コスト重視:IFZA、Meydan、Dubai South(実費で50万〜100万円)
- 国際的信頼性重視:DMCC、DIFC(銀行口座開設もスムーズな傾向)
- 物流・製造:JAFZA(港湾・空港アクセス)
- IT・テクノロジー:Dubai Internet City(テックエコシステム)
- 暗号資産・Web3:DMCC(暗号資産ライセンス対応)
また、法人税0%のメリットを維持するためには、QFZP要件を継続的に満たすことが不可欠です。特にデミニマスルール(非適格所得5%以下)を超えると、翌4年間は9%の法人税が適用されるため、取引先の構成を常に意識してください。
フリーゾーンの選択は法人の税務・ビザ・銀行取引に直結する重要な意思決定です。実際の設立を検討されている方は、具体的な事業内容をもとに法人設立の費用と手続きを確認し、専門家への相談を検討されることをおすすめします。
ドバイ移住の無料個別相談を受付中!
ドバイ総合研究所では、ドバイ移住に関する無料個別相談を実施しております。ビザ・税金・生活費など、あなたの状況に合わせてアドバイスいたします。