ドバイには、「フリーゾーン」と呼ばれる経済特区があり、世界中の外資系企業が次々と進出を果たしています。
フリーゾーンに法人を立てると、税制の優遇処置などのメリットがありますが、手順や必要な費用がわからない方も多いと思います。
そこで、今回はドバイのフリーゾーンに法人設立する際に必要な費用や手順について詳しく解説していきます。
ドバイで法人設立を検討している経営者・個人事業主の方は、ぜひ参考にしてください。
ドバイのフリーゾーンで会社設立に必要な費用
2023年3月現在、ドバイにはフリーゾーンが30種類以上存在しており、場所や代行業者によって会社設立に必要な費用は大きく変動します。
例えば、ドバイ・マルチ・コモディティ・センター(DMCC)の場合、100万円〜200万円必要になります。
必要な費用は、業種・オフィスの規模・倉庫の有無などによっても変動するため、各フリーゾーンの特徴を把握しておきましょう。
初期費用
ドバイのフリーゾーンで会社設立に必要な初期費用は、90万円〜160万円です。
初期費用として支払う料金は、以下5つです。
- 法人登記料
- ビジネスライセンス費用
- オフィス賃貸料
- 資本金
- ビザ取得費用
上記5つの中で初期費用を抑えやすいものとして、「オフィス賃貸料」と「資本金」が挙げられます。
オフィス賃貸料の場合、バーチャルオフィスが認められているフリーゾーンを利用すると、初期費用を抑えられるケースが多いです。
初期費用を抑えやすいフリーゾーンの例として、「ドバイ・エアポート・フリーゾーン(DAFZA)」が挙げられます。
DAFZAでは最低資本金が3万円で済むだけでなく、ヴァーチャルオフィスも提供しているため、ほかのフリーゾーンと比べて初期費用を抑えやすいです。
ランニングコスト
法人設立後の翌年からは、年間維持費用として80万円〜120万円必要です。
会社の設立形式やフリーゾーンによって変化しますが、主に以下3つの費用をランニングコストとして支払います。
- 会社のライセンス費用
- オフィス費用
- ビザ健康診断保険などの法的に定められている義務にかかる費用
ドバイで法人を立てると、法人税が発生しないなどのメリットがありますが、上記のような年間維持費用は発生します。
ご自身の事業内容に合うフリーゾーンを選択し、費用を抑えて会社設立を行いましょう。
ドバイのフリーゾーンについておさらい
ドバイのフリーゾーンでは、原則として業種を問わず外資100%の会社設立ができるだけでなく、さまざまなインセンティブが用意されています。
各首長国の法令に基づいて設立されているフリーゾーンでは、会社法の枠にとらわれないさまざまな優遇制度があるため、外国企業の立地に最適です。
例えば、1996年に設立されたドバイエアポートフリーゾーン(DAFZA)の場合、以下のような優遇処置を受けられます。
- 100%外国資本
- Dubai Cargo VillageとFLC (Free Zone Logistics Centre) Air Cargo Terminalの使用
- オンラインのカスタマーサービス
- 1日24時間業務が可能
- 本国に無制限で利益を送れる
- 外国人雇用の制限が無い
また、フリーゾーンは保税区でもあるため、エリア内で輸入された商品は外に持ち出さない限り輸入関税が徴税されません。
上記のようにさまざまな優遇処置が用意されているため、ドバイのフリーゾーン内で会社設立するメリットは多いといえます。
ドバイのフリーゾーンで会社設立するための手続き
この項目では、ドバイのフリーゾーンで会社設立するための手続きについて、ジェベル・アリ・フリーゾーン(JAFZA)を例として詳しく解説していきます。
JAFZAで会社設立を行う場合、以下の手順に沿って手続きを進めます。
- 必要書類を提出する
- 提出した書類をJAFZAが審査・事業認可を行い、承認された場合メールで連絡を受ける
※関連機関への申請は基本的にJAFZAが代行してくれますが、追加で申請者が認可を得なければならないケースもあります。 - オフィス・土地区画・ショールーム・倉庫から物件を選択する
- 登録手数料や賃貸料などを支払い、企業の概要・事業活動・賃貸物件に関する詳細を記述したリース概要書に署名する
- ライセンス発行
JAFZAに提出する必要書類は、以下の通りです。
- 申請書
- 事業計画書
- EHS申請書・EHS関連基準遵守書
- 現地スポンサーからの異議なし証明書※申請者がアラブ首長国連邦在住外国人の場合
- 代表者・役員のパスポートコピー
- 親会社の登記証明
- 親会社の会社定款
- FZE・FZCO設立と代表者を決定した取締役会の決議書
- 代表者の書名鑑※JAFZAの証明を受けたもの
- 実質的支配者に関する開示書類
注意点として、「親会社の登記証明」・「親会社の会社約款」・「取締役会の決議書」を提出する際は、英語に翻訳して公証人役場・在外UAE大使館の認証を受ける必要があります。
手間をかけずに会社設立するならエージェントを活用
ドバイのフリーゾーンで会社設立するには、英語を翻訳したり必要書類を提出したりと、かなり手間がかかってしまいます。
手間をかけずに会社設立したい方は、サポートが充実している代行業者などのエージェントを活用する方法がおすすめです。
エージェントを活用する場合、登録料・ライセンス料・バーチャルオフィス賃料・代行費用をまとめた金額を支払います。
依頼するエージェントによって値段は異なるため、代行業者にご自身の希望を伝えて見積もりを行う必要があります。
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ドバイ移住に必要な費用
日本からドバイに移住する際は、以下3つの面で費用が必要になります。
- VISA発行エージェント費
- 東京からドバイへの航空券
- PCRテストや証明写真
上記3つの中でも、VISA発行エージェント費は種類によって大きく異なるため、必ずエージェントと相談しながらご自身に合うVISAを選択しましょう。
ドバイ移住に必要な費用については、こちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
フリーゾーンのメリット・デメリット
この項目では、ドバイのフリーゾーンに会社を設立するメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
メリット
ドバイのフリーゾーンに会社を設立するメリットは、以下4つです。
- 100%外資で会社の設立が可能
- 設立コストがメインランドより低い
- 法人税がゼロ
- それぞれのビジネスに必要な設備がある
メインランドで会社を設立する場合、51%の株式をUAE国民が持つ必要があるため、現地のパートナーが必要です。
一方で、フリーゾーンの場合は、100%外国資本で会社を設立できるので国籍を気にせず設立できます。
また、フリーゾーンに会社を設立すると、法人税が0%になる点もメリットの1つです。
さらに2023年6月から法人税が導入されますが、フリーゾーンカンパニーは変わらずこもメリットを享受することができます。
法人税は会社の利益に比例して徴税される金額が高くなるため、事業規模が大きい会社ほど得られる恩恵は大きいでしょう。
さらに、フリーゾーンは場所によってそれぞれ違った特徴を持っている点も魅力的です。
フリーゾーンの多くは、特定の業種向けに設立されているため、エリアごとに特定の業種に必要な設備が整っています。
例えば、ドバイエアポートフリーゾーン(DAFZA)の場合、貨物を保管できる倉庫や通関を切るための税関などの設備があります。
設備が整っていると、事業拡大を行いやすいため、ドバイに進出して業績アップを目指しましょう。
デメリット
ドバイのフリーゾーンに会社を設立するデメリットは、以下3つです。
- 銀行口座開設のハードルが高い
- メインランドで事業はできない
- メインランドよりも信用力が落ちる可能性がある
フリーゾーンで会社設立を行う上で1番の問題は、銀行口座開設のハードルが高い点です。
フリーゾーンでは、過去に何度も国際的な金融トラブルが発生しているため、銀行口座開設のハードルが高いです。
しかし、銀行口座開設のハードルが高いからといって、フリーゾーン内で開設できないわけではありません。
適切な書類の用意や説明を行えば開設できるため、メインランドよりも銀行口座開設が難しいと認識しておきましょう。
また、フリーゾーンで会社設立した場合、メインランドで事業を行えません。
例えば、ドバイ市内でお店を構える飲食店を経営する場合、メインランドで会社設立をする必要があります。
フリーゾーンに会社を設立してドバイ市内で商売を行う際は、現地でパートナー企業を作り、パートナー企業を介して商売する方法が一般的です。
さらに、メインランドよりも信用力が落ちる可能性がある点もデメリットの1つです。
フリーゾーンは、誰でも資金力があれば会社設立できるため、フリーゾーンの会社ライセンスだと信用力が欠けると考える方もいます。
金額が大きい取引を行う事業を計画している方は、フリーゾーンだけでなく、メインランドの会社設立も視野に入れる必要があるでしょう。
まとめ
ドバイのフリーゾーンで会社設立すると、法人税がゼロになるだけでなく、さまざまな優遇処置を受けることも可能です。
当社では、ドバイにおけるさまざまな法人設立を「賢く人生の選択肢を増やす」という理念の元サポートしています。
もちろんフリーゾーンの会社設立もサポートしており、難しい銀行口座開設まで対応可能です。
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